レーニンジャーの新生化学:第5版 第2章

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レーニンジャーの新生化学

レーニンジャーの新生化学、第2章は水です。

水系における弱い相互作用

水の最大の特徴はその極性による水素結合である。水素結合により、さまざまな極性分子やイオン性物質を容易に溶かし込む溶媒として使用できる。

疎水性物質は水と接触する表面積ができるだけ小さくなるように、疎水性相互作用によって凝集する。

タンパク質の三次元構造や酵素基質複合体の形成などは、数多くの弱い非共有結合性相互作用(水素結合、静電的相互作用、疎水性相互作用、ファンデルワールス力)によって形成される。一つ一つの結合は弱いが、構造や複合体が崩れるには、すべての非共有結合性相互作用が同時に解離する必要がある。その結果、これらの安定性は相互作用が増えるたびに指数関数的に上昇し、極めて安定となる。

生体内の浸透圧は厳密に調節されている。なぜなら、細胞の周囲と細胞との間に浸透圧の差が生じると、細胞が収縮または膨張し、差が大きすぎると膜の破裂等を引き起こすからである。

例題

疎水性物質が水に溶けない理由を物理化学的観点から説明せよ。

答え

疎水性物質が水に溶けようとするとき、疎水性物質は水同士の水素結合を破壊する必要があり、それには外界からのエネルギーを必要とする。したがって、定圧条件での熱の出入りを意味するエンタルピーHはエネルギーが必要であるため熱が系に入ってくる、すなわちΔH>0となる。
次にエントロピーSに関しては、疎水性物質が水に溶けようとすると、その周囲の水分子は疎水性物質を取り囲むような籠状の殻を形成するように極めて厳密に配置される。したがって、水分子の配向可能性は減少するから、系の乱雑さは減少する、すなわちΔS<0である。
水に溶けるという現象が自発的に発生するためには、ΔGが負である必要がある。
しかし上記からΔG=ΔH-TΔS>0であることは自明である。
したがって、疎水性物質は水に溶けない。

水、弱酸および弱塩基のイオン化

純水はわずかにイオン化しているが、そのプロトンはプロトンホッピングという現象によって非常に迅速に移動することが可能である。

pKaは酸性度を表す指標である。pKaが小さいほど酸性度が高い、すなわち強酸であるといえる。
これは、Kaの値が大きいことは、その定義から[H⁺][A⁻]の値が大きいため、イオン化しやすくかつ [H⁺] の解離もしやすいことを表すからである。

例題

pKaを実験的に求める方法を説明せよ。

答え

滴定によって求める。加えた酸性物質HAの半分量のNaOHを加えることにより、HAとA⁻の濃度が等しくなる。すると、Kaはその定義から水素イオン濃度と等しくなる。すなわちその時のpHがpKaと等しくなる。

生物系におけるpH変化に対する緩衝作用

弱酸または弱塩基はpHの変化に抵抗する。このような液を緩衝液という。

ヘンダーソン・ハッセルバルヒの式を用いることで、弱酸とその塩の溶液のpHが示される。

生体において緩衝液の存在は非常に重要である。なぜなら多くの酵素は至適pHを持っており、pHが大きく変動する環境では酵素が役割を果たすことが難しいからである。
生物学的緩衝液ははリン酸系と重炭酸系である。重炭酸系は空気中の二酸化炭素分圧も関与するのでリン酸系に比べて複雑である。アシドーシス(血中pHが低くなっている状態)のとき息切れが起こるのは、CO₂を体からできるだけ排出して、水素イオンを重炭酸イオンと結合させて、水と二酸化炭素にさせたいからである。

例題

ヘンダーソン・ハッセルバルヒ式を記述せよ。

答え

pH=pKa+log[A⁻]/[HA]

反応物としての水、生物に対する水環境の適合性

水は縮合反応や加水分解反応など、反応物として利用されることもある。
一般に、一つの分子が二つになる加水分解反応は発エルゴン的、その逆の縮合反応は吸エルゴン的である。ATP合成も縮合反応の一種なので吸エルゴン反応である。

水は大きな比熱を持つ。これは、生物にとって非常にメリットが大きい。なぜなら、環境の温度が変化したり、熱が発生した際に、水が熱の緩衝材として機能できるからである。

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