レーニンジャーの新生化学:第5版 第4章

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レーニンジャーの新生化学

第4章はたんぱく質の三次元構造です。

たんぱく質構造の概観

たんぱく質のコンホメーション形成に最も寄与するのは、疎水性相互作用である。
イオン性相互作用や塩橋は、ほどけた状態で水と相互作用することが可能なので、三次元構造中に分子内でそれらが形成されるとしても、水と安定に存在していた分を差し引いて考える必要がある。
一方、疎水性相互作用は水とは決して形成できないものなので、たんぱく質の三次元構造形成のエネルギーのほとんどは、疎水性残基が凝集する際にはじかれる水分子のエントロピー増大によってまかなわれる。
そのうえで、イオン性相互作用や塩橋の数が最大化するような構造が最も安定であり、たんぱく質はそのような構造を取ろうとする。

例題

1.二面角とは何か説明せよ。

2.たんぱく質のペプチド結合のC-Nの結合がなぜ2重結合性を持つのか説明せよ。

答え

1.結合している3つの原子は、直線上にない限りある平面を定義できる。したがって、結合している4つの原子は左3つの原子と右3つの原子で2つの平面を定義できる。その2つの平面がなす角度のことを二面角という。

たんぱく質の三次元構造を考える際には、ペプチド結合の二面角を調べることが重要となる。

2.ペプチド結合に存在するOとNが共鳴しているから。(Nの非共有電子対がC-N結合に電子を渡してC=N二重結合となり、C=O二重結合の電子がOに入ってC-O単結合となる。)

タンパク質構造の二次構造

タンパク質の二次構造には、αヘリックス、βシート、βターン、ランダムコイル(未定義)がある。

αヘリックスは3.6残基ごとに1周回るらせん階段上の構造である。形成のしやすさは、
・各アミノ酸ごとのαヘリックス形成能
・3~4残基離れたアミノ酸のR基との相互作用や立体障害
・αヘリックスに不向きなPro、Glyの有無
・αヘリックス両末端に集積した電気双極子に荷電性アミノ酸の安定化
が考慮される。

βシートはジグザグ状のアミノ酸の連なりが重なった構造で、平行のパターンと逆平行のパターンがある。
βターンは逆平行のβシートの末端によくみられる構造である。Pro、Glyを含む4残基のアミノ酸からなり、鎖を180°曲げている。

それぞれの構造は特有の二面角を持つ。

例題

タンパク質に対する円二色性分光法は何を測定できるか。

答え

αヘリックス、βシート、ランダムコイルの含量を調べることができる。左平面偏光と右平面偏光のモル吸光係数の差は、遠紫外線領域において、αヘリックス、βシート、ランダムコイルでそれぞれ異なるので、それを利用している。

タンパク質の三次構造と四次構造

タンパク質の三次構造は、大きく分けて繊維状タンパク質と球状タンパク質がある。
繊維状タンパク質は、構造的に重要であり、球状タンパク質は、機能的に重要である。

繊維状タンパク質にはケラチン、コラーゲン、絹フィブロインなどがあり、ケラチンはαヘリックスのコイルドコイル構造、絹フィブロインはβシート、コラーゲンは特殊ならせん構造のコイルドコイル構造を持つ。すべて二次構造の単純な繰り返しからできている。

球状タンパク質は複雑で多様であるが、αヘリックス構造とβシート構造の集合と考えることができる。
そしてこれらはモチーフと呼ばれる、二次構造が折りたたまれた共通の構造を持つことがある。
また、ドメインと呼ばれる、ほかの残基との相互作用を示さない独立した領域を持つこともある。
タンパク質を分類する際に、このモチーフによる分類がよく行われる。

例題

ケラチンは、(①  )の量でその強度が決定する。サイの角のような頑丈なケラチンは、全アミノ酸残基の約18%が①を形成している。
コラーゲンのアミノ酸組成は、35%の(②  )と21%の(③  )と(④  )と4-Hyp(④の4位がヒドロキシ化されたもの。)である。したがって、必須アミノ酸が含まれず、経口で摂取しても栄養価は非常に低い。

答え

①ジスルフィド結合 ②Gly ③Ala ④Pro

タンパク質の変性とフォールディング

タンパク質の立体構造は、タンパク質がほどけた状態よりもほんの少し安定である。ほんの少しであるから、温度やpHなどの外部環境が少し変わっただけで構造は崩壊し、機能が消えてしまうことがある。これが変性である。
好熱性細菌がなぜ生きていられるのかはまだわかっていないところが多い。

タンパク質の立体構造は、アミノ酸配列、すなわち1次構造によって決定する。しかし、タンパク質のフォールディングは、自発的に起こるものは少なく、そのほとんどは分子シャペロンによる手助けを必要とする。
例としては、ほどけた疎水性残基に結合するHsp70、中央にタンパク質を入れる大きな穴をもったシャペロニン、ジスルフィド結合を形成するタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ、プロリンのシストランスを変換できるペプチドプロリルシストランスイソメラーゼなどがある。

Ⅱ型糖尿病、アルツハイマー病、パーキンソン病などの多くの疾患は、タンパク質のミスフォールディングによってアミロイドが蓄積することが原因で発生する。

例題

モルテングロビュールとは何か説明せよ。

答え

タンパク質の構造は、ほどけた状態かフォールディングされた安定構造かの二者択一ではなく、段階的にフォールディングされていく。したがって、タンパク質中の全てのアミノ酸が完全に固定されているわけではないが、やや安定な構造を持つ中間体がいくつも存在する。この中間体の折りたたみ状態をモルテングロビュールという。
例えば、疎水性相互作用によりコアは形成されたが、周りの極性アミノ酸のR基が固定されていないといった状態のことをいう。

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