レーニンジャーの新生化学:第5版 第5章

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レーニンジャーの新生化学

こんにちは。薬学部3回生がレーニンジャーの新生化学をまとめています。

薬学部が避けては通れない道である生化学をここでしっかりまとめていきましょう。

第5章はタンパク質の機能です。タンパク質は生体において重要であることは自明ですので第3章から長々とタンパク質関連をやっております。この章では特にタンパク質とリガンドの関係性についてフィーチャーしています。

リガンドに対するタンパク質の可逆的結合

酸素結合タンパク質であるヘモグロビンとミオグロビンに焦点を絞って、リガンドとタンパク質の結合について記述している。

まず、これらの酸素結合タンパク質はヘムと呼ばれるポルフィリン環をもつ補欠分子族をタンパク質の中央に持っており、さらにこのヘムはFe²⁺と配位結合を形成している。Feの配位数は6であり、このうち4つはヘム、1つは酸素結合タンパク質のヒスチジン(His F8:αヘリックスFにおける8番目の残基だからこういう名前がついている。)に配位しており、残り1本がO₂と結合している。

タンパク質ーリガンドの相互作用は定量的に記述でき、会合定数Kaまたは解離定数Kdとリガンドが結合した割合θを導入することで把握できる。

ミオグロビンは単量体タンパク質、ヘモグロビンは2つのαサブユニットと2つのβサブユニットを持つ4量体タンパク質である。どちらも酸素をリガンドとしてとることができるが、ヘモグロビンは各サブユニットがそれぞれ酸素と結合でき、酸素を全身に運搬するためには、サブユニットが必要であるから、赤血球内にはヘモグロビンがたくさん含まれている。

ヘモグロビンはアロステリックタンパク質である。アロステリックタンパク質とは、リガンド結合部位がタンパク質内にいくつか存在し、一つのリガンドが結合したとき、別のリガンド結合部位のコンホメーションが変化することで、その結合の性質が変化してしまうタンパク質のことである。
ヘモグロビンのリガンドは、O₂をはじめとしてH⁺、CO₂、BPGなどがある。O₂以外のリガンドは、O₂がヘモグロビンから外れるようにコンホメーション変化を引き起こす。

例題

1.解離定数Kdは、リガンドがタンパク質の結合部位のうち半分に結合したときのリガンドの濃度を表す。これを証明せよ。

2.なぜ、酸素を運搬するためにはサブユニットが必要なのか、説明せよ。

答え

1.Kd=[P][L]/[PL] θ=(リガンドに占有された結合部位)/(全結合部位) とする。
リガンドに占有された結合部位は [PL] で、全結合部位は [P]+[PL] である。
[PL]=[P][L]/Kd をθの式に代入すると、
θ=[L]/[L]+Kd となる。
「リガンドがタンパク質の結合部位のうち半分に結合したとき」とは、すなわちθ=1/2の時なので、それを代入すると、Kd=[L] が示される。

以上より、Kdが小さいほど、少ないリガンド量でタンパク質と結合する、すなわちそのリガンドとタンパク質は高親和性である。ということが示される。

2.酸素を運搬するためには、肺で酸素と結合し、末梢で酸素と解離する必要がある。したがって、ミオグロビンのような単量体では、高親和性か低親和性かの二者択一となり、高親和性なら肺で酸素を回収できるが、末梢に供給できない。低親和性なら末梢で酸素を供給した後、肺で酸素を回収できない。このいずれかになってしまう。
しかしヘモグロビンは、酸素の結合部位を4つもち、酸素と結合していないときはT状態という酸素に対して低親和性を示す構造をとっているが、酸素が1つ結合すると、各サブユニットの構造はそのままで、サブユニット同士の配置が変わる。この配置の変化はR状態という、酸素と高親和性を示す構造へと変化する。
ヘモグロビンは肺ではR状態で多く存在し、高親和性を示して酸素を回収するが、末梢ではT状態で多く存在し、酸素を供給することができる。
酸素を運搬するためにはこのような低親和状態と高親和状態の行き来が必須なので、そのためにはサブユニットが必要である。

タンパク質とリガンドの間の相補的相互作用

免疫応答においても、タンパク質とリガンドの相互作用は重要である。

細胞性免疫は、ヘルパーT細胞からのサイトカインによって活性化したキラーT細胞がTCR(T細胞受容体)を細胞表面に発現する。これはタンパク質で、侵入した病原体の一部をリガンドとして認識するようになり、結合して相互作用を起こし、病原体を死滅させる。

体液性免疫では、ヘルパーT細胞からのサイトカインによって活性化したB細胞が、抗体を作り出す。抗体は抗原に結合する。これも、抗体がタンパク質、抗原の一部(抗体と結合する部分をエピトープという。)をリガンドと考えて理解できる。この抗原抗体複合体はマクロファージのFc認識部位(Fcとは抗体の中のY字の根元の部分である。)と結合して、マクロファージによって複合体ごと貪食される。

ちなみにIgGの構造も動的で、エピトープが近づくとコンホメーションが変化し結合能を手に入れる、というような誘導適合を行っている。

例題

抗体の重鎖、軽鎖、定常領域、可変領域、Fab、Fcがそれぞれ抗体のどこを指すか説明せよ。

答え

H鎖が重鎖、L鎖が軽鎖を指す。

化学エネルギーによって調節されるタンパク質の相互作用

化学エネルギーを用いるタンパク質の相互作用として筋収縮が挙げられる。

筋収縮は、ミオシンから作られる太いフィラメントと、アクチンから作られる細いフィラメントが互いに滑り込むようにして起こるが、この滑り込みはATPの加水分解のエネルギーを用いて行われる。

ミオシン頭部にATPが結合すると、アクチンからミオシンが離れる。
ATPが加水分解されてADPになると、ミオシンは高エネルギー状態となり、コンホメーション変化によって、滑り込む方向にある、少しだけ離れたアクチン分子と弱く結合する。
ここでリン酸がミオシンから離れた後にADPもミオシンから離れることによって大きく頭部が振られ、より離れたアクチン分子とミオシン頭部が結合する。

例題

筋収縮は、トロポニンとトロポミオシンによって調節されている。トロポミオシン、トロポニンC、I、Tサブユニットのそれぞれの役割を大まかに説明せよ。

答え

トロポミオシンはαケラチンと類似したタンパク質であり、アクチンフィラメントに結合し、ミオシン頭部との結合部位を遮断する。
トロポニンのCサブユニットはCa²⁺との結合部位である。トロポニンはカルシウム結合タンパク質である。
トロポニンのIサブユニットはトロポミオシンと同様、ミオシン頭部のアクチン結合を妨げている。
トロポニンのTサブユニットはトロポニンとトロポミオシンの結合を仲介する。

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