DNAの情報-薬学の問題集

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レーニンジャーの新生化学
引用:http://manabu-biology.com/archives/42037800.html

こんにちは!レーニンジャーの新生化学の内容に基づいて、問題と解答を作っています。

今回は第9章「DNAを基盤とする情報技術」からの出題です。

DNAクローニング

1.プラスミドの成分、構造、細胞への主な導入方法、使用目的などについて説明せよ。

2.アフィニティークロマトグラフィーを用いてタンパク質を精製する際、融合タンパク質を用いるのは非常に有効である。融合タンパク質をどのように用いるのか説明せよ。今回はグルタチオンS-トランスフェラーゼを用いることとする。

答え

1.プラスミドは、5000bp~400000bpからなる短い環状DNAである。
細胞へは形質転換、もしくはエレクトロポレーションによって導入する。形質転換とは、細胞とプラスミドDNAを0℃の塩化カルシウム水溶液でインキュベートし、すぐに40℃くらいまで温度を上昇させることで細胞にショックを与え、プラスミドを導入する方法である。エレクトロポレーションは、プラスミドDNAと培養細胞に高電圧のパルスをかけることによって、細胞膜の透過性を一時的に大きく上昇させることでプラスミドDNAを細胞内に導入する方法である。
プラスミドDNAは、クローニングベクターとして頻繫に用いられる。プラスミドDNAは、染色体とは独立して複製されるので、プラスミドに目的となる遺伝子を組み込んでおけば、プラスミドを細胞に導入したとき、プラスミドが複製されて遺伝子が発現し、タンパク質を手に入れることが可能である。

クローニング…大きな染色体から特定の遺伝子のみを取り出して複製すること。クローニングベクターは、取り出した遺伝子の情報を運ぶDNA分子のことである。

2.アフィニティークロマトグラフィーとは、カラムに目的のタンパク質のリガンドを結合させておき、そのリガンドとタンパク質の相互作用によってタンパク質の流出が遅くなることを利用して精製する方法である。また、融合タンパク質とは、目的タンパク質の直後に別のタンパク質の遺伝子を導入し、二つのタンパク質を融合させたタンパク質のことである。
精製の方法を説明する。目的タンパク質の直後にグルタチオンS-トランスフェラーゼを導入して融合タンパク質を作る。アフィニティークロマトグラフィーのカラムにグルタチオンS-トランスフェラーゼのリガンドであるグルタチオンを結合させる。カラムに融合タンパク質を流すと、融合タンパク質はグルタチオンとグルタチオンS-トランスフェラーゼの相互作用により移動度が減少し、カラムに残る。グルタチオンとグルタチオンS-トランスフェラーゼの相互作用は非共有結合的なので、大量の塩を流すと融合タンパク質は溶出する。

ゲノミクス

1.cDNAを用いたライブラリーの作り方とそのようなライブラリーを作る意義について説明せよ。

2.SNPs(一塩基多型: single nucleotide polymorphism)とは何か、説明せよ。

答え

1.cDNAとはcomplementary DNA (相補的DNA)のことである。cDNAはDNAから転写されたmRNAを逆転写酵素を用いて再度DNAに戻したものである。このように作られた二本鎖DNAをベクターに挿入していけば、cDNAライブラリーというクローンの集合体が完成する。
cDNAライブラリーは、mRNAに転写されたものだけでできたライブラリーである。これは、細胞において実際に利用される遺伝子領域のみを厳選していることを意味するので、遺伝子をすべて集めたライブラリーよりもより細胞の機能をよく表すので有用である。

2.各個人は、1000塩基に1つくらいの頻度で塩基が他人とは異なっている。この人の多様性を生んでいる単一塩基のことをSNPsという。ヒトはSNPsを何百万か所も持っている。

人のDNAの多様性はSNPsのみからなるわけではない。例えば、DNA内にはSTRという4塩基が反復している領域があり、この反復数は各個人によって異なる。
STRの例を挙げると、CSF1POと呼ばれる5番染色体内にあるSTRは、TAGAという配列が反復しているが、ヒトによってこの配列の反復は5回から16回まである。この反復数の差は犯罪のDNA検査に用いられる。

プロテオーム

1.プロテオーム、プロテオミクス、システムズ生物学はそれぞれ何を指すか、説明せよ。

2.DNAマイクロアレイとは、どのような方法で何を検出できるか、説明せよ。

答え

1.
プロテオーム:遺伝子から発現されるタンパク質のすべてを指す。
プロテオミクス:プロテオームの機能を解析する学問を指す。
システムズ生物学:細胞内の多数のタンパク質や高分子の変化や反応を総合的に研究する学問を指す。

2.DNAマイクロアレイは、調べたい細胞において、どの遺伝子が発現しているかを調べることができる。マイクロアレイの方法は、まず数㎝²の固相上に直接、数十塩基のDNA配列を100万個程度配置する。次に調べたい細胞からmRNA(mRNAが存在することは、遺伝子が発現していることを意味する。)のみを抽出し、mRNAから逆転写酵素を用いて一本鎖cDNA(蛍光試料がついている。)を合成する。このcDNAを固相に固定された100万個のDNAにすべてスポットする。もし固相のDNAとcDNAがアニーリング(一本鎖DNA同士が水素結合して二本鎖DNAとなること)して、相補鎖を形成すると、蛍光が発せられ、そのDNA配列は発現しているということがわかる。

バイオテクノロジー

1.Tiプラスミド(Ti:tumor inducing 腫瘍形成)を用いた植物のクローニングについて説明せよ。

答え

1.Tiプラスミドは、アグロバクテリウムという細菌が持つプラスミドで、vir遺伝子とTDNA領域があるプラスミドである。
vir遺伝子は、アセトシリンゴン(傷ついた植物から産生、分泌される物質)によって活性化される。活性化されたvir遺伝子は、TDNA領域を植物染色体内に導入するための酵素を発現する遺伝子である。
TDNA領域は成長ホルモンなどの腫瘍形成に必要な物質を合成する酵素を発現するので、導入されると細胞増殖が促進されて腫瘍を形成する。
このTDNA領域を欠損させ、vir遺伝子を残したTiプラスミドと、目的遺伝子を持つ新たなプラスミドをアグロバクテリウムに導入すると、目的遺伝子を植物細胞の染色体内に導入することができる。

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